練馬区の無電柱化はダメ!

はじめに

「電柱が地上に何本も立っている日本は景観が悪いので地中に埋めよう」などと言い出したのはオリンピックの開催場所に東京が選ばれて、これからインバウンドで観光業を盛り上げていこう、などと政府主導で外国人の日本観光に力を入れた初めた頃だろうか。

その結果、平成28年に無電柱化の推進に関する法律、通称「無電柱化法」が施工された。


そんな経緯ががあり、現在の練馬区でも電柱を地上から消し去る無電柱化を推進している。平成30年に発行された「練馬区無電柱化推進計画」によると無電柱化をすすめる理由として

・乱立する電柱は都市経過を損ねる
・電柱は歩行者や車椅子の利用者の通行を妨げている
・災害時には電柱の倒壊により、避難や救急活動や物資輸送の妨げとなる

などが挙げられている。

しかし、本当に無電柱化を進めていいのだろうか?

日本人は昔から電柱が立ち並ぶ光景を美しいと感じていた

昨年の新型コロナウイルスが流行する前まではインバウンド観光に力を入れていたのでロンドンやパリ、香港、シンガポールなど世界の観光都市に負けないよう都市景観を重要視していたのだろう。

しかし、新型コロナウイルスが原因でインバウンド観光は、すでに状況が変わってしまった。世界中の国々が外国人の入国に制限をかけるようになり、観光旅行へ行く者も大幅に減った。

今から他の先進都市と同じように電柱を地上から消しても、インバウンドはもとには戻らない。それならば、無電柱化計画自体をやめてしまってもいいのではないだろうか。

昔から電柱が一定間隔で道路上に立ってそれぞれが電線で繋がっている風景というのは日本人にとって美しいと感じる風景である。その証拠に練馬美術館で電線絵画展が開かれている。2月28日から4月18日まで公開中だ。

電線の絵画というと「電線が美術になるのか?何か別のものの勘違いかも?」と思うかもしれないが本当にで電線というよりは電柱の絵画展である。

出店されている絵画の画家は次の4名のものが有名だ。

小林清親(こばやし きよちか)
1847年から1915年の明治時代の浮世絵師。「最後の浮世絵師」と呼ばれる複数いる人達のうちの一人。電線を文明開化の誇り高き象徴して堂々と画面中央に描いた。

岸田劉生(きしだ りゅうせい)
1891年~1929年の大正から昭和初期の洋画家。東京が拡大していく様を後世に語るように電柱を描いた。

小絲源太郎(こいと げんたろう)
1887年から1978年の洋画家、版画家。モダン都市のシンボルとして架線を描写した。

朝井閑右衛門(あさい かんえもん)
1901年から1983年に活躍した日本の洋画家。油彩の厚塗りが個性な絵画を描いた。

このように古来より電線、電柱は日本人にとって馴染み深いものであり、美しいと感じる共通認識を持つ風景である。

新型コロナウイルスで収入をインバウンド観光に頼るのは危険だと判明した今ならば無電柱化計画自体をやめてしまってもいいのではないだろうか。

電柱が地上に設置されているメリット

電柱が地上に生えている場合のメリットは次のようなものがある。

電柱は自動車事故から歩行者を守ってくれる。
子供の頃、徒歩で小学校まで歩いているとき、大きなダンプカーが時速50kmで近づいてくることにとても恐怖した。しかし、そんなときでもそばある電柱のおかげで無事に家にたどり着くことができた。もし、ダンプカーがハンドル操作を誤ってこちらに近づいてきてもサッっと電柱の裏に回り込めば、電柱が身代わりになってくれるからだ。

電柱は雇用を生み出す
たまに作業服を着た人が電柱に登ってなにか作業している人を見かけたことはないだろうか?あれは外線配線工事といって配電するために電柱から電線を各施設へとつないでいるのだ。電線には6600ボルトの電圧がかかっているので第2種電気工事士のような難関資格を取得した人でなければならない。このように電柱は高度な技術と知識を持つ人材の雇用を生み出す。

電柱があると迷子にならない
電柱はたくさん立っているのでどれも同じように見えてしまうが、実はそうではない。よく観察すると電柱ごとに細かな違いがあるのだ。ちゃんと真っすぐ立っている電柱もあれば地震の影響で少し傾いたものもある。表面がきれいな電柱もあれば、選挙ポスターを何度も貼っては剥がすを繰り返した影響で、ポスターの残骸が付着して残っている。雨の日に車が水たまりを通った際に泥水をぶっかけられたものもある。このように電柱はそれぞれ違っているので道を覚えるときの目印としてとても役立つ。

電柱は探しものに便利
電柱は探しものがある場合にポスターを貼ると便利だ。ペットの猫がいなくなった場合でも迷い猫のポスターを手書きのイラストに連作先を添えて貼っておけば効果的な宣伝になる。地元では小学生などが猫を見つけたときに連絡をしてペットが見つかったという話もよくあった。

電柱は健康増進に役立つ
電柱は一定間隔で配置されているので区切りの良い目印になる。小学生の頃は6年生が近くに住む1,2年生と一緒になって投稿していたが、下級生はよく道草を食ってしまうので登校時間に間に合わなくなってしまうことがある。そんなときの解決方法が電柱インターバルだ。電柱を通り過ぎるたびに歩くー>走るを繰り返すことでゲーム感覚でカラダを鍛えることができる。その結果、登校時間にも間に合うというおまけ付きだ。

電柱は犬にとって縄張り
犬はよく電柱におしっこをする。これはマーキングと呼ばれる「ここは俺の縄張り」という主張を他に犬に伝えるために行われているのはよく知られている。他にも犬社会での挨拶代わりに使われているという説もある。人間でも犬でもコミュニティの中で生きていくためには挨拶は大事だ。自分が挨拶しても返事がなければイラッとするし、舐められていと感じて敵対的な感情を持つようになる。当然犬も同じだ。犬同士だって同族同士で喧嘩する社会が良いはずがない。犬だってイジメはダメなのだ。

電柱は鳥にとって安全な休憩所である。
鳥にとって電柱は安全地帯でることをご存知だろうか?電柱の高さは低いものでも8mはある。これぐらいの高さであれば同じ鳥類でもないかぎりちょっかいは出せない。スズメがもしも電柱ではなく地面で休もうとしたら、猫の遊び道具としてその小さな命を狩られてしまうだろう。それに電柱の足場釘・足場ボルトと呼ばれる両側には突き出ている棒がある。もともとは電柱で作業する人が使うものだが、鳥が休む場所として丁度いい。電柱がたくさんある日本が鳥にとって居心地のいい場所だろう。

まとめ

・電柱が行って間隔で地上に設置されている昔なじみの風景を我々日本人は美しいと感じてきた。
・無電柱化を推進していた理由は東京オリンピックの開催が決まって外国人のインバウンド観光に力を入れようとしたから。
・新型コロナウィルスの世界的な流行によって海外旅行自体が自粛され始めたのでインバウンド観光を産業の主力にするリスクに多くの人が気づき始めた。
・無電柱化よりも電柱が地上に設置されていることで社会的にも経済的にも、動物保護の観点からも様々なメリットがあることを忘れてはならない。

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